第9章 退紅(あらそめ)scene3
リビングに入ると、智くんはコーヒーを淹れてくれた。
その間、俺達は無言で座っていた。
口火を切ったのはニノだった。
「宮城から帰った日…俺、ずっと大野さんについてたんだ」
家に送ってきて、俺が病院から帰るのをずっと待ってたと。
だけど俺が夜になっても戻らなくて、智くんが電話をしても拒否になってて…
ニノが代わりに電話をしたけど、俺は出なくて。
ニノは雅紀や潤に相談して、毎日誰かしら智くんの傍にいることにした。
仕事には行くけど、外に出るとスキャンダルのことで打ちのめされて帰ってくる。
そんな智くんを一人にはできなかった。
俺は俺で、あんな芝居するくらい傷ついているから、暫く放っておくしかないと思ったんだそうだ。
日に日に智くんは弱っていって、週末にこんな状態になった。
ニノを見ても、雅紀を見ても、潤を見ても…
「翔くん」
そう呼んで、にこにこしている。
「コーヒー入ったよ。今日は翔くんの好きなやつ買ってきたから」
そういって俺の前にコーヒーを出してくれた。
それは…
「皆…悪いけど帰ってもらえるか」
皆、驚いて俺の顔を見た。
「ちゃんと話すから」
そういうと3人は目を合わせた。