第9章 退紅(あらそめ)scene3
「…やるねえ、智くん」
パラパラとホテルの部屋で雑誌をめくる。
「いや、もう…これ、お持ち帰りでいちゃいちゃコースだろ…」
否定のしようがねえだろうなあ…
どうやってフォローしようか。
その時、部屋をノックする音が聞こえた。
あの後すぐスタジアムに戻ってリハーサルの続きをやったので、もう朝方になってた。
「はーい」
ドア越しに返事をすると、智くんだった。
「翔くん、今いい?」
ドアを開けると、憔悴しきった智くんが立ってた。
服の裾を持って、ちょっと震えてる。
「いいよ…はいって?」
なるべく明るく言ってみたけど、智くんの表情は変わらない。
部屋に入ってソファに座らせると、俯いてしまった。
「…まあさ、気にしないでよ。俺たちもできることはするからさ」
そう言ってビールの缶を前に置いた。
俺は熱があるから、今日はやめといた。
「でもさ~、びっくりしたよ。10個も年下なんでしょ?もう、いつの間にさ~」
「…翔くん」
「ん?」
智くんの膝に置かれた握りこぶしが震えてる。
「どうしたの…こんなの気にしなくていいから?ね?」
そう言って手を握った。
「大丈夫だよ。俺達が居るから、ね?」