第9章 退紅(あらそめ)scene3
何も、感じなかった。
そのままステージに向かって、皆に謝ると客席でずっと作業を眺めてた。
絶え間なく聴こえる潤の声。
ステージにいるニノと雅紀。
身体が熱っぽい。
皮膚が敏感になっててヒリヒリする。
智くんは楽屋から戻ってこない。
そして今日は…雑誌の発売日
楽屋に戻ると、友人や事務所のやつらからメールやメッセージが大量に届いてた。
皆、智くんのことを心配するものだった。
すべて無視して、俺は外の仕事に向かった。
身体がだるかった。
だけど、一日だって休む暇はないんだ。
明日からコンサート本番なのだから。
スタジアムの外での仕事を終えて戻る途中で、また医者に寄った。
点滴をしてもらって、またスタジアムに戻る。
その間もスマホにはメッセージが届いていた。
”大野くん大丈夫?”
知らない。
俺の知らないことだよ?
もう、智くんの心は俺から離れたんだから。
スタジアムに戻ると、まだ他のメンバーは戻ってきていなかった。
楽屋でいつも使ってる寝る時のセットを出して、ソファで横になった。
マネージャーがなんか言ってたが聞き取れないくらい、俺はすぐに眠りに引きこまれていった。
全部…夢だったらいいのに