第7章 ショコラscene3
慌てて姫抱っこをしてニノを座敷に連れて行く。
翔ちゃんの隣に敷いた布団に寝かせると、どっと疲れが襲ってきた。
「どういうこと…?」
つぶやくと奥さんが俺にタオルを差し出した。
知らないうちに汗が噴き出てた。
「あの…黒が、来たみたいです」
「黒って…あの俺に取り憑いた犬ですよね?」
「ええ…二宮さんに憑いてました」
「ニノに!?」
奥さんはニノの掛け布団を直しながら微笑んでいた。
「今は…帰ったみたいですね…二宮さんには憑いていません」
「なんで…」
「ふふ…黒は櫻井さんの事が大好きみたいですよ?」
「えっ…」
「黒はメスなんです」
「うっそ…」
犬にまで惚れられるって…さすが翔ちゃん…
「櫻井さんに別の霊が入っているのを見て、助けなきゃと思ったんでしょうね…」
「黒が…助けてくれたんですか…?」
「ええ…美々子さんが出て行きたいと思うきっかけになったようですから…」
「あ…あの銀色のものってなんなんですか?」
「企業秘密です」
「へ?」
それからニノと翔ちゃんは昏昏と眠り続けた。
二人とも、自分以外の霊魂が身体に入るのが初めてだったから、疲れきったみたくて。
俺はただ、その寝顔を見つめているしかなかった。