第6章 ノクターン
ニノはまっすぐに俺を見ているけど、言っていることがわからないようだった。
目に疑問を浮かべて、ただ俺を見上げてた。
「だからね…今から、お前を抱くよ?」
ニノの答えは聞かない。
そっと身体を重ねると、ぎゅっと抱きしめた。
「抱くよ…」
身体に力が入った。
瞬間、ニノは俺から逃れようともがき始めた。
それでも俺は離さないよう、また身体をぎゅっと引き寄せた。
「あーっ…」
ニノが叫ぶ。
泣き叫んで、ここから逃げ出そうとする。
「和也っ…大丈夫だから」
「あーっ…ああーっ…」
ものすごい力で俺を引き剥がそうと暴れまわる。
予想していたから、俺はニノに体重を掛け腕に一層力を入れた。
「和也っ…怖くない…これからは俺がずっと一緒にいる」
「ああああーっ…」
「これは、現実だ…和也っ…現実なんだよ!」
動きが止まる。
「げんじつ…?」
久しぶりに聞く、言葉…
そう…ニノはこんな声してた…
少しかすれてるけど、ニノの声だ…
「そうだよ…ずっと、現実だよ…?」
「嘘だ…こんなの夢に決まってる」
「違う…都合のいい夢なんかじゃない。ここがお前の現実だよ」
「…大野さん…?」
ニノの手が俺の肩に掛かった。