第6章 ノクターン
ニノが一回だけきた、ニノの新しい家。
一歩足を踏み入れて、驚いて立ち止まった。
「ごめんな…ニノの家族と一緒に荷物、勝手に片付けた」
ニノは俺の顔を見ると、少し俯いた。
「気にすんなよ…俺、撮り前の休みたくさんもらったから」
そっとニノの手を握ると、少しだけ握り返した。
そのまま手を引いてリビングに入る。
あの時、ニノの部屋のリビングにあったものは全て処分した。
その代わり、新しい物を購入した。
ニノがあの時のことを思い出さないように。
「あのね、暫く俺もここで住むからね?」
驚いた顔で俺を見る。
「俺じゃだめか…?」
またニノは俯いた。
握った手にぎゅっと力を力を入れる。
そっと顔を上げたニノの目には涙が溜まっていた。
「何泣いてんだよ…」
服の袖で溢れてきた涙を拭くと、またニノは俯いた。
「風呂はいろうな…今、準備してくるから」
ソファに座らせて、立ち上がろうとした。
ぐいっと後ろに引っ張られて振り返ったら、ニノが服の裾を握ってた。
「…ついてくる?」
こくりと頷くとニノは立ちあがった。
服の裾を持ったまま、ニノは風呂場までついてきた。
給湯ボタンを押す。
お湯が出てくる音を聞いたら、またリビングに戻った。