第6章 ノクターン
点滴が終わると退院の許可が出た。
病院を出て、まっすぐ知らないところに連れられてきた。
そこには俺の荷物が少しだけ置いてあった。
カーテンだけちゃんと掛かってるけど、家具も何もない。
寒い部屋…
後の荷物は、後日来るそうだ。
「今日からここに住んでください。あのマンションには近寄らないで下さい」
「…彼女の事務所とは、話ついてんの?」
「金で…」
「そう…慣れてるんだね…」
マネージャーは何も答えず、俺の荷物をスーツケースから出した。
「ここ…どこ?」
「大野さんの家の近所です」
夜になると、マネージャーがご飯を買ってきた。
食べる気にもならず、そのまま放っておいた。
とりあえずテーブルとイス、あと布団とかそんなものが運び込まれた。
「とりあえずは今日過ごせると思いますから…」
「うん…」
ぼけっとイスに座っていたら、チャイムが鳴った。
マネージャーが出ると、驚いた様子で玄関に出て行った。
戻ってきたら、大野さんが一緒に入ってきた。
「ニノ、どう?」
俺に歩み寄ると、髪をなでた。
張り詰めていたものが、そこで切れた。
大野さんにしがみつくと、俺は声を上げて泣いた。
そんな俺を、大野さんはただ抱きしめていてくれた。