第6章 ノクターン
マネージャーの後ろに居た男。
まだ中学生くらいだろう。
「あの子誰かな?ジュニア?」
返事をしない俺を相葉さんは怪訝そうな目で見る。
「どうしたの?ニノ」
「いや…」
俺に、そっくりだった。
背中を冷たい汗が流れていく。
その日の収録は、何をしていたのかわからない。
気がついたら、楽屋に一人で座っていた。
手のひらにもびっしょり汗をかいてる。
大野さんは収録が終わったら、また呼びだされて帰ってきてない。
他のメンバーは次の仕事とかでもういない。
俺のマネージャーも居ないし、チーフも居ない。
楽屋は俺以外誰も居なかった。
異様だった。
俺はどうしていいかわからず、ただそこに座ってた。
間違いない…あの子は…
何度も時計を見るけど、ちっとも時間が進まない。
やっと一時間経ったところで、大野さんとマネージャー達が楽屋に戻ってきた。
「二宮、まだいたのか」
チーフが何事もなかったかのように、帰り支度を促す。
「今日は大野と一緒に送るから」
「はい…」
大野さんは俺を見てまた笑う。
俺のマネージャーはチーフと話し込んでる。
気づいたら、大野さんが俺の荷物を持っていた。
「ニノ、行くよ」
そう言って、俺の前を歩き出した。