第6章 ノクターン
「ニノ、メイクだってよ」
「ん?ああ…」
気がついたら少し寝てたみたいで。
相葉さんが呼びに来てくれてた。
「ありがと」
手を差し出すと、しょうがないなって顔して起こしてくれた。
「どうしたの?ゲームもしないで」
「ん…ちょっと老眼で…」
「ぶ…」
「たまにはいいでしょ」
「いや…珍しいこともあるもんだなって思ったんだよ」
「そう?」
俺達が楽屋を出ると、大野さんも楽屋を出てきた。
「あれ?どうしたの?」
「自販機行く」
にこにこと大野さんが答える。
13年前から…この笑顔は変わらない。
多少アクが抜けたなとは思うけど。
35歳にもなったし。
でも笑うと、あの頃と同じ顔になる。
そっと目を逸らして前を見る。
収録中はじっと顔をみることもあるけど、スタジオを一歩出ると、やっぱり大野さんの顔はまっすぐ見られなかった。
相葉さんと大野さんが一緒に並んで話しだした。
その時、前からマネージャーが歩いてきた。
「あれ?どうしたの?」
相葉さんが声を掛けると、マネージャーは後ろを振り返った。
「あ…」
大野さんが小さな声を出した。
「大野さん、いいところに…」
マネージャーが大野さんを引っ張っていった。
「なんだろ?ねえ、ニノ」
相葉さんの声が遠くに聞こえた。