第6章 ノクターン
風呂から上がってみたら、女は居なかった。
玄関に行ってみたら、靴がなかった。
ドアガードをしっかりしめて、俺は寝室へ入った。
広いベッドにごろんと寝転がると、身体の芯が疲れているのを感じた。
何年こんな生活を送っているだろう。
あれから…13年前のあの日から…
俺は普通に生きていくことができなくなった。
芸能人だからとか、そういうことじゃない。
いつも心臓がざっくりと切れて血が流れ出てる。
そんな痛みを感じてた。
それはいつでも、どこでも、何をしていても。
俺を支配していた。
徐々に、俺は壊れた。
ずっと痛くて…痛くて忘れられない。
嵐のレギュラー番組の収録。
楽屋に入ると、いつものように全員が揃ってる。
「おはよー」
入って行くと、翔さんの隣に座る。
この局ではここが定位置。
カバンからゲーム機を出すけど、なんとなくやる気にならなくて。
テーブルまで行って、イスを三つ並べてそこにごろんと寝転がった。
楽屋は昔みたいに賑やかじゃなくて。
必要なことをぽつりぽつりと喋って、後は各々やることに集中してる。
そんな静けさが心地いい。
目を閉じると、昨夜の女の顔が浮かぶ。
嫉妬に歪んだ醜い顔。
俺の顔。