第6章 ノクターン
ギシッとベッドが揺れる感覚で目が覚めた。
「…もう帰るの?」
名前も知らない女。
黙って俺に背を向けるとバスルームへ入っていった。
今日も、ダメだった。
なんで…できないんだろ…
イッたふりだけ、上手くなる。
それでも勘のいい女にはわかってしまって。
女と付き合っても長続きしたことがない。
手当たり次第に試してみた時期もあった。
芸能人とも付き合ってみたこともあった。
だけど…ダメだった。
どんなに顔が綺麗でも、締りが良くても。
本当の快感を得ることなんてできなかった。
「二宮くん…顔、怖い…」
何度、そんなことを言われたか…
俺はベッドから立ち上がると、服を着た。
そのまま、女のことなんか放っておいて部屋を出た。
フロントで清算を済ますと、部屋に帰ると伝言を入れておいてもらえるよう頼んでホテルを出た。
車のキーを指に引っ掛け回しながら地下の駐車場を歩く。
表に車を回してくれるって言われたけど、写真撮られるから断った。
カツンカツンとブーツの音が、響く。
虚しい…
どれだけこんな虚しい時間を過ごしただろう。
車に乗りこみエンジンを掛けると、乱暴に発進させた。
タイヤの軋む音が、地下に響いた。