第6章 ノクターン
それから、大野さんが部屋に女を連れ込むことはなかった。
一緒の部屋になったとしても、じっと動かないでただテレビを見てる事が多くなった。
俺はそんな大野さんと二人きりになって、どうしていいかわからなくて、ゲームに耽るようになった。
ゲーム機を買い換えたところだったから、言い訳にはちょうどよかった。
そんな中、二回目のハワイ行きが決まった。
窒息しそうになってた俺は、ちょっとだけほっとした。
日本にいたら、あの夜のこと思い出して…
ハワイで、俺の思いを捨ててこようと思った。
大野さんのこと、すっぱりと諦めようと。
ハワイについて、俺は必要以上にはしゃいだ。
ファンとのイベントも、盛り上げる以前に自分が盛り上がってた。
そんな俺をメンバーはちょっと引きながら見てた。
そう、あの瞬間までは。
イベントが終わって、ホテルに引き上げる時…
目の端に人が居るのが映った。
その人は、俺達のマネージャーの一人と一緒に立ってた。
赤ん坊を抱えた女だった。
背中を冷たい汗が流れていった。
あの夜の女だった。
大野さんも立ち止まって、その女を見てた。
そして俺の肩に手をかけると、何事もなかったかのようにホテルに向かって歩き出した。