第6章 ノクターン
それからレコーディングに入って、大野さんの歌を聴いた。
やっぱり凄かった。
京都に行ってから、ダンスにも歌にも磨きが掛かったように思った。
なんで…こんな人が居るんだろ…
ジュニアの連中には、早くデビューしたくてたまらない奴が沢山いて…
そんな奴らには大抵、実力が伴ってなくて。
なのに辞めようとしてるこの人には、歌もダンスも才能があって。
神様は不公平だ。
ちりっと胸の奥が痛んだ。
その痛みが一体なんなのか、この時の俺にはわからなかった。
だけど…
俺は、大野さんをデビューさせようと思った。
なんとなく、意地になった。
そのために俺が巻き込まれてもいいとすら思った。
この人を、逃がさない。
それからは、あっという間にグループ結成の話が進んで。
大野さんが辞めるって言ってるのを、なんとか宥めすかして、俺達はデビューが決まった。
ハワイに行く一週間前。
俺たち5人は焼肉屋に呼ばれた。
壮行会だと言われたそこで、いよいよなのかと実感した。
そこには相葉さんも松本くんも翔さんもいた。
不満顔の大野さんの隣で、俺はなんだか顔が笑っていくのを止められなかった。
そんな俺を見て、皆、デビューが嬉しいんだと勘違いしてた。