第6章 ノクターン
芸能活動をしてるし、勉強なんてしたくなかったから、高校は通信制にしてた。
それでも月に何回かは通わなきゃいけなくて。
学校の入ってるビルの前に立つと、憂鬱な気分になった。
原チャリを駐輪場に置いて、のろのろと玄関に向かう。
どうせ、友達なんていない。
なにか揉め事があるとすぐ俺のせいになる。
芸能人だからって、敵視してる奴も居た。
高校がこんなだから、事務所を辞めたら留学しようかとも思った。
翔さんにもその相談をしてた。
幸い、ここまでの芸能活動の給料は母親が貯金してくれてるから、資金はあった。
ある日、レコーディングを手伝ってくれと言われてスタジオに入った。
そこに大野さんが居た。
相変わらずにこにこしてた。
俺の顔見ると、手招きした。
「お前、辞めるの?」
「わかんない…まだ迷ってる」
「そっか…俺もね、辞めようかと思ってる」
「そうなの?」
「イラストレーターになりたい」
「えっ?」
大野さんの絵の上手さは知ってたけど、まさかそんなこと考えてるなんて…
あの夜のことを考えたら、とても将来を真面目に考えてるとは思わなかったから、正直驚いた。