第3章 チェリー・ポップ
「いかないで…」
かずが必死な顔で俺の手首を握っていた。
「行かないで…大野さん…」
「ごめん…まぶた腫れるから…氷取ってこようと思って…」
ぐいっと引っ張られてかずの上に覆いかぶさるように倒れこんだ。
「嫌…行っちゃ嫌だ…」
「ん…わかった…」
落ち着かせようと、髪を撫でた。
触れたかずの身体が熱かった。
「お前…熱出てんじゃねえの?」
「出てないよ…」
身体を蹴られたと聞いている。
打撲があるから、熱が出るかもと翔くんは言っていた。
「いいから…」
額に手を当てたら、熱が高い。
「身体、痛いんじゃないか…?」
ベッドサイドに、翔くんが医者から貰った頓服を用意してくれていた。
「薬、のも?かず…」
「嫌っ…そんなのいらないっ…」
なんでか、かずは薬を飲んでくれなかった。
身体はどんどん熱くなっている気がする。
「かず…お願いだから…辛いだろ…?」
「いいっ…俺なんかっ…」
俺の手を振り払ったかずは、はっとした顔をしてすぐに俺に縋り付いてきた。
「そんなのいいから…そんなことはいいんだ…」
「かず…」
身体が震えてる。
熱のせいなのか…それとも孤独のせいなのか…
俺にはわからなかった。