第2章 グレイscene3
風呂からあがってパジャマを着てると、誰か来た。
モニターで確認すると、デリバリー?
玄関までくると、翔ちゃんがお財布を持って出て行った。
「さ、雅紀夕飯な」
紙のパッケージを大量にテーブルに置いた。
「え?なにこれ…」
「有機野菜を使った自然食の店の食べ物だよ。良かったよここ、配達地域で」
そう言いながらパッケージを開けていく。
中には身体に良さそうな、野菜中心の色鮮やかなご飯が詰まっていた。
「美味しそう…そういえば最近、ろくなもの食べてなかったな…」
翔ちゃんは俺の顔をじっと見た。
「え…?なに…?」
「…ん。さ、食べよ?」
そのお店のご飯はどれもおいしくて。
あっという間にお腹がいっぱいになるまで食べた。
「ありがとう…翔ちゃん。すっごい美味しかった!」
「良かった…」
翔ちゃんは俺のパジャマを着て、俺のうちのソファに座って微笑んでる。
なんだか不思議だった。
後片付けをしながら、なんで今日はこんなことになったのか考えてたけど、いくら考えてもよくわからなかった。
リビングからはテレビの音がしてる。
時折、翔ちゃんの笑い声が聞こえてくる。
キッチンからそっと翔ちゃんを見ると、この家に住んでる人みたいにリラックスしてソファに座っていた。
「あ、雅紀」
不意に翔ちゃんがこちらを振り返って焦った。
「な、何!?」
「寝ようか?」
「えっ…」
「歯ブラシある?」
「え?は、歯ブラシ?」
翔ちゃんは俺を洗面所まで連れて行くと、新しい歯ブラシで歯磨きを始めた。
俺も横で一緒に歯を磨いた。
「あの~…翔ちゃん、まだ8時だけど…」
「ん、だから?」
「もう寝るの?」
「寝るの」
有無を言わせない響き。
こういう時は何を言ってもだめで…
「わかりました…」
せっかく翔ちゃんが遊びに来てるのに。
こんな時間に寝ちゃったらもったいないな…
時間が止まればいいのに。
このまま、ずっとこんな時間が続けばいいのに。