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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい


「ただの小娘だと、柔いだけの存在だと。何を根拠に、そんなことを言っておったのだろうな。」

「俺達は刃であり、主がいてこそだ。それが、どれ程己しか見えていない存在であっても、主が大切なことに変わりはない。」

「だから、主に逆らうお前が壊れているように見えていたのだろうな。自分の事は棚にあげて」

「俺は、臆病者だ。主が恐いだけだった。仲間が傷つけられても、今剣が泣いておっても。なにもしなかった。」

「どこかで、羨ましかったのだろう。ただ、あるがままに生きておるお前の事が。誰に否定されても、変わらずにあれるその魂が。」

「全て、つまらない事だ。今まですまなかった。」

岩融の懺悔はここまでだった。
あとは一言二言、「本来ならば大きい者がお前のような小さきものを守るべきであるのに。」とか「……………感謝する。どうしようもない、臆病者を見捨てないでくれて」なんて事を付け足して、それ以降彼はだんまりに入ってしまった。
「……………臆病者、なんて言いますけど。私はさっき、貴方の優しさに助けられたんですよ。」
彼岸花は水面を見たまま、言った。
岩融は、どこを見ているのか「そうか」と返した。
流れる沈黙はもう、重くはない。いや、それを言えば先程から重くはなかった。
何処かでもう、言葉にしなくとも解っていた。彼岸花の心の形は彼岸花にも伝わっていたし、あの優しさに涙が出るほど嬉しかった事は変わらない確かな事実だ。
「岩融さん、改めて。ありがとうございました、助けてくれて」
「………あぁ。」
岩融は意地を張るような言葉は言わなかった。ただ、素直に頷いてくれた。
彼岸花は、息を吸って目を閉じる。
風の音が聞こえる。

ぼんやりと水面を見ている彼岸花と岩融は、何も言わずにいる。
ただただ流れる時間の中で、互いに己の心のなかで決意を決めていた。
ふ、と。その時、強い羽音が風にのって聞こえ、彼岸花はすぐさま口を閉じ、側の木によじ登る。
地上の岩融と軽く目配せをしあえば、あとはもう待つだけであった。
ーーー作戦開始
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