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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい


ーーー作戦は始まった。

彼岸花と岩融は特に何をするでもなく池を見ていた。
ふと、彼岸花は視線を感じて岩融を見る。
「なんすか。質問なら、奴が来る前に聞いときますけど。」
「うむ、そうだな……………いや、奴を落としたあとどうやって奴を殺す」
岩融はまた、なにかを言いかけては呑み込んで彼岸花にそう尋ねた。
「………前に、闇落ちした人は心臓を潰せば死にましたよ。………ところで、岩融さんは奴の心臓を潰す役やりたいですか?」
彼岸花が聞くと、岩融は少し考えて口を開く。
「………そもそも、奴の心臓はどこにある。」
「………ほんまや。さっき背中が開いて中を覗いた時に見た臓器達の中に無かったな。」
「何故そんなものを見ておったのだ………まぁ、それならそれで方法はあるな。今いった心臓を潰す役、俺に任せてもらおう。」
岩融は自信に溢れた顔でニヤリと笑う。
彼岸花は目を瞬かせて、どうするつもりなのかと聞く。
「なに、奴の心臓が上半身にあることは解っておる。ならば、上半身をすべて細切りに、してやればよい。」
「わ、わお」
彼岸花はあまりの力業に、感想すら忘れて取り敢えず呟いた。
(ま、まぁ、この様子なら任せても平気………かなぁ)
うーんと思いつつ、しかし自分の役目は交代してもらう訳にもいかないと任せることにした。
「片足でも、何とかなりますか?」
「誰に聞いておる。当たり前だ」
岩融は当然と言う風に頷いた。
そして、会話は終わり。また、静かな時間が流れる。
風が吹けば、木々が揺れて葉が落ちて、更に水面を揺らす。
彼岸花はこうやって、ただ何もせずある時間も好きだった。
そんな、静寂の最中で、必死に頭を回す者がいた。
彼は、考えて考えて、ついにそれを口に出した。
「……………………すまなかったな」
不意に聞こえた言葉。彼岸花は、は?と岩融を見ようとする。
「えぇい!此方を見るな!!」
怒った岩融の顔が一瞬、赤かったことだけを確認して彼岸花は池の方を向かされる。
「………何度も、何度も。俺は、きっとお前を見下しているだけであった。」
岩融の懺悔、そう懺悔が始まる。
静かに揺れる水面を見ながら、彼岸花はそれを聞いていた。
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