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ヘブンズシュガーⅠ【気象系BL小説】

第9章 あなた


木枯らしの吹き荒れるなか、なんとか辿り着いた場所。


「おはようございます」


「あら、櫻井さん今日も早いですね」


「ええ…寒いから、綿入れを持ってきたんです」


「あら…暖かそうですね」


「ええ…彼、これが好きなんですよ」


受付で名前を書いて、中に入る。


スリッパの音が廊下に響き渡る。


一番奥の部屋。


そこに彼は居る。


「智くん。来たよ」


「あ、翔ちゃん!」


ベッドの上で、智くんは嬉しそうに笑う。


「ほら、これ。持ってきたよ?」


「おお!ありがとう!」


頭にニット帽を被ったまま、嬉しそうに綿入れに袖を通す。


「髪がないから、あったけえや…」


「もうすぐ生えてくるでしょ」


「うん…」


そういってニット帽を撫でる。


「生えるまで、生きてればね」




ここはサナトリウム。


末期のがん患者を受け入れている。


智くんはここに入って一ヶ月になる。


ご両親はとうに亡く、たったひとりで智くんは病気と戦ってきた。


白血病という病に冒され、一度は寛解したけど。


また再発した。


何度目かの抗癌剤治療をしたけど、これ以上の効果は認められないと。


治療は中止された。
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