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ヘブンズシュガーⅠ【気象系BL小説】

第63章 モノの子scene6


血の匂いがした…


”気をつけろ”


頭に警戒の声が聞こえる。


身体が硬くなる。


「お前…一人か?」


鈍色の着物の男はゆっくりとこちらに近づいてくる。


背後に、残照が見えた。


男の影は、まるで幽鬼で…


ぼくたちモノよりも、もっと質の悪い、実体を持たない鬼。


千年に一度現れる、伝説の鬼のようだった。


息がかかるくらい近くまで男が寄ってきた。


「なんだ…男か…」


あからさまに残念そうな顔をした。


「で、どこいくんだ?お前みたいな子供が、こんな時間にふらふらしてたら危ねぇよ」


男は役人のようだった。


検非違使か…


大野と一緒だ…ますます油断ならない。


「送ってやるよ。今、暇だからな」


そういうと、ぼくの手を取った。


急いで振り払うと、男を睨みつけた。


「なんだよ…鬼じゃあるまいし…取って食おうなんて思ってねーよ」


戸惑った顔をして、男が振り向いた。


「俺は大野っていうんだ。検非違使だ。ほら、安心だろ?」


鳥肌が立った。


潤鬼の…雅鬼の仇…


目の前に居た。


「…お前、もしかして家がねえのか?」


考える暇もなく、頷いていた。


殺してやる。


…食いちぎってやる。


頭のなか、それで一杯になった。

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