第61章 モノの子scene4
それから三日過ぎた。
翔鬼はずっと眠ったままで。
何度か起こして湧き水を口に含ませたけど、またすぐ眠ってしまって。
子鬼たちは、洞窟の生活に飽きて外に出たがった。
子鬼は闇の中だと人間には姿が見えない。
だから、遊んでおいでと外に出した。
ふたりきりになってしまった洞窟はとても静かで。
外で夜烏の鳴く声がする。
翔鬼の身体を濡れた布で拭いていると、手を掴まれた。
驚いて顔を見ると、翔鬼は優しい顔をしてこちらを見ていた。
「翔鬼…」
「和鬼…大丈夫か…」
自分のほうが弱ってるくせに…
翔鬼に抱きついた。
「大丈夫…」
なんとかそれだけ言ったら、涙が出てきて、後は何も言えなかった。
優しく頭を翔鬼が撫でてくれて、やっと翔鬼が助かったことが実感できて…
涙が余計に止まらなくなった。
「泣かないで…和鬼…」
聞いたこともない優しい声…
「もう…離れたくない…」
そう言ったら、翔鬼のたくましい腕が伸びてきて。
ぼくを藁の寝床に押し倒した。
翔鬼の顔を見上げて、身体が熱くなった。
またあの痛みがきた。
メリメリと内側から殻をやぶるような痛みが来たかと思ったら、またぼくは修羅の姿になった。
翔鬼の姿も本物のモノの姿に変わっていた。
その夜、ぼくたちは交わった。
【つづく】