第59章 モノの子scene2
「雅鬼っ…!起きろっ!」
翔鬼が叫ぶ。
ビクリと潤鬼の下の雅鬼が反応する。
「聞こえるかっ!?修羅を…!修羅を頼むっ…」
むくりと雅鬼は起き上がった。
ぼくの姿を見ると、目を瞠った。
「和鬼…」
「雅鬼っ…早くしろっ…」
雅鬼は翔鬼の口から噴き出る血を舐めとった。
「ごめん、力もらう…」
「いくらでも使いやがれ…」
雅鬼がぼくを抱え上げた。
「ごめん…翔鬼っ…」
翔鬼を一人残し、ぼくたちは杉の木を駆け上がった。
てっぺんまでいくと、雅鬼は空を駆けた。
それからどれだけ走ったかわからない。
ただ必死に雅鬼にしがみついてた。
時折、雅鬼の目から涙が零れて。
綺麗な雫になって空を舞っていった。
月の灯りだけが、ぼくたちを照らしていた。
山の洞窟に着いたのは、明け方だった。
傷ついた子鬼たちが、そこにはいた。
「大人のモノはいないの…?」
隅で震えてる子鬼たちは首を振った。
「嘘だ…どうして…?」
ぼくたちのモノの村は、滅びた。
【つづく】