第58章 モノの子scene1
「和鬼…起きなさい」
「いや…もうちょっと寝る…」
「だめです。起きなさい」
翔鬼はいつも容赦無い。
「そんなことじゃ、いい修羅になれませんよ?」
そう…ぼくは修羅になることが決まってる。
なんで…?
わからない。
「あなたは運命の子なのです…」
またいつもの翔鬼の説教が始まった。
「あなたが修羅になることで、モノの世界が救われるのです…」
いつもいつも同じことを言う。
ぼくたちモノは、都の嫌われ者。
人間はいつもぼくたちを狩りにくる。
ぼくが修羅になったら、そんな人間たちを退治できるんだって。
そんなわけ無いと思う。
ぼくの腕はこんなに細い。
ぼくの足はこんなにひ弱。
修羅になったって、きっとそれは変わらない。
「信じてないですね?和鬼」
いつもの説教なのに、今日は翔鬼の機嫌がいいみたい。
「信じられないよ…」
「修羅になるとはどういうことか…お話しましたっけ?」
翔鬼は、ぼくの布団を畳みながら俺の顔を覗き込んだ。
「しらない」
「そろそろ…大人ですから…お話しましょうか」
板敷きに正座すると、翔鬼は俺をじっとみた。