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ヘブンズシュガーⅠ【気象系BL小説】

第43章 哀婉scene7


その日は、全然お客が来ない日で。


早い時間からずっと暇だった。


こんなこと滅多にないから、窓辺のカウチに座ってうつらうつらと眠ってた。


誰の腕にも抱かれないで眠る夜。


凍えそうに寒い。


誰か…温めて…


「翔…」


ふと、船乗りの名前が口をついて出た。


手に握った金平糖の瓶をカランと鳴らした。


また、あれからこない。


あんなに俺のこと傍に置きたいって言ったのに…


「うそつき…」


広い背中に、何度すがりついたか。


あれは翔の背中だったのか…


もう、顔も思い出せない。


涙が伝っていく。


なんで…居なくなったの…?


俺のこと、愛してなかったの…?


「し…んご…」


さらさらとした髪。


俺の上を滑るように動く、しなやかな身体。


弄ぶ指。


はっきりと思い出せるのに、顔が思い出せない。


誰でもいい。


忘れさせて。


喉にこみ上げてくる、熱い塊を飲み込んだ。


伝う涙は止らない。


彼は、去ったのだ。


俺のこと好きじゃなくなったんだ…


だから、来ない。


明日も、明後日も来ない。


永遠に、俺は…一人だ。

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