第40章 哀婉scene4
上海の街はいい。
俺の性格に合ってる。
まず、言葉はわからない。
だから人に話しかけられても、分からないで済む。
孤独を好む俺には、もってこいだ。
それに、みんな粗野で大雑把。
俺が女みたいになよなよしてても、誰も気にしない。
日本じゃ、大和魂日本男児とか言って、逞しいのがもてはやされてる。
俺は兵役検査で丙だった。
それが、隣近所に知れ渡って居られなくなった。
”オンナオトコ”
そんな風に陰口を叩かれた。
違う…
俺は目が悪いんだ。
だから丙だったんだ。
白い目を避けるように都会に出た。
でもそこでもやっぱりどこかで噂されてるようで…
居たたまれなくなって、上海へ来た。
これからの街。
未来のある街。
俺はここで都市計画に携わる。
なんとか潜り込んだ、お国のための仕事。
兵役につけないなら、役人になればいいんだ。
きっと偉くなって、故郷の奴らを見返してやる。
…いいや…もう戻るもんか…あんなところ…
時々、体中を寒風が吹き抜けていく。
孤独でいいはずなのに、人肌が恋しくなる。
孤独がいいのに…
今日も、夜の上海をさまよい歩く。