第38章 哀婉scene2
租界をさまよい歩いてた。
どこもかしこも汚い。
犬のクソだらけ…
なんでこんなとこきちゃったんだろ…
ひときわ明るい界隈にでると、その風景は一変した。
綺麗に整備された道路。
溝の臭いなんてしない。
「なんだ…ここ…」
気をつけて見てると、客引きが居る。
ああ…吉原みたいなところなんだ…
ぼけっと通りを眺めていたら、チャイナドレスを着た女性が道を横切っていった。
「春麗…!」
この春まで、俺が付き合ってた中国娘。
まさか、こんなところにいるなんて…!
田舎に帰るからと泣く泣く別れたのに…
本当は日本に連れて帰ろうと思ってたのに…
急いで追いかけると、春麗の後ろ姿は怪しげな建物に消えた。
一際明るい界隈なのに、そこだけは紫のベールが掛かってるみたいだった。
そこがどこだかわからずに足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ…」
蝶ネクタイの男が近寄ってくる。
「あんた、初めてね?」
「あ、ああ…」
「男がいい?女がいい?」
カタコトが耳につくが、一応わかるからまだマシだ。
ここの中国人は、日本語を覚える努力もしないのが多いから。