第2章 夢に舞い、恋に舞う
「はい、今日はここまで」
「お師匠さん、ありがとうございました」
そっと板敷きに手をついて、あいさつをする。
「雅紀、今日は…」
「あっ…すみません。用事が入っています…」
「そうか…」
お師匠は、残念そうな顔をして座っている。
「すみません…」
でも僕は、このお誘いはなんとしても断らなければならなかった。
だって…
気がついたら、お師匠が僕の隣に座っていた。
「えっ!?」
慌てて立ち上がろうとしたところを、腕を引かれてバランスを崩す。
お師匠の胸に飛び込んでしまう。
「雅紀…」
熱い吐息が耳にかかる。
「やっ…やめてくださいっ…」
お師匠の胸板をぐいっと押して、身体を離す。
「ど、どういうつもりなんですかっ!?」
「どういうって…」
しれっとした顔でお師匠は笑う。
「も、もういいですっ…」
慌てて裾を払って立上がる。
震える手で襖を開けて出ていこうとしたら、後ろから声が掛かる。
「用事が終わってからでいいから、俺の部屋にこい」
振り返ると、有無を言わさない顔をしてる。
これは…お師匠が絶対に引かないときの顔だ…