第16章 レイン
雨の音が、空っぽの部屋に響き渡る。
身体を起こすと、冷気が俺を包んだ。
少し身震いしてから、ベッドを出る。
ぺたぺたと床を歩く。
冷たい床が、足先の温度をあっという間に奪っていく。
キッチンで水を飲むと、身体はもう芯から冷えきっていて。
リビングに引き返し、カーテンを開ける。
もう明るくなってきてもいい時間なのに。
雨のせいで、まだ外は真っ暗で。
目を凝らしても、見えるのは街の灯りだけ。
なんにも見えない。
真っ暗闇。
まるで俺の心のよう。
カーテンを閉めると、ヒーターの電源を入れる。
オレンジ色の灯りが、部屋を染めた。
縋るようにその温かい光の中に入る。
一人…
たった一人だ。
この広い都会。何百万と人がいるのに、俺は一人で。
あいつと別れて、もう1年以上経つというのに、未だにこの孤独に慣れることはない。
それほど、幸せだった。
なぜ突然、あいつが俺の前から消えたのか。
理由はわからなかった。
何も言わず、ある日突然あいつの荷物もあいつも消えた。
写真の一葉も残ってない。
周りの友人達もなにも知らなかった。
ただ、あいつだけがこの世界から忽然と消えた。