第14章 悪徳の花 3
その日は翔と一緒にマンションに帰った。
近い距離だから車も必要ない。
病院から離れると、翔に手を差し出した。
「え…?」
「手、繋いで帰ろう」
「でも…和也…」
「いいだろ…誰に見られたって困るもんじゃないんだから…」
「そうだね…」
そっと手を繋いだ。
もう隠す必要なんてなかった。
俺たちはそのまま手を繋いで歩いた。
「幸せだよ…」
「え?」
「和也と出会ってから、俺、ずっと幸せだよ…怖いくらい…」
「ばかだな…」
ぎゅっと手を握った。
「これからだってずっと幸せにしてやるよ」
「和也…」
「だから安心しろよ…」
「うん…」
涙ぐんだ目を俺に向ける。
「和也は…もう、淋しくない…?」
「え?」
「和也は幸せ?」
「決まってるだろ…幸せだよ…」
「良かった…」
俺の手を引き寄せて、身体を密着させる。
「和也に寂しい思い、させないからね…」
「ばか…」
そんなに俺、寂しそうな顔してるのかな…
「和也…」
「ん?」
「僕、和也のこと幸せにするよ…」
「翔…」
「愛してる…和也…」
綺麗な瞳で俺を見つめる翔は、とても綺麗だった。
俺の聖域。
翔のこと、絶対に守る。
あの汚いおっさんどもから、翔を守るんだ…
そして…
全てを手に入れてやる…
あと一歩だよ…翔…
お前のためなら、この手、いくらでも汚してやるよ…
【つづく】