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ヘブンズシュガーⅠ【気象系BL小説】

第11章 玲瓏


和也の嗚咽が止まる頃…


玄関には日中の光が差し込んで、和也の白い足に反射していた。


割れた着物の裾から見える、その足は夢のような美しさで…


思わず和也を座らせて、足に舌を這わせる。


「くすぐったい…」


「和也…帰ろう?日本に…」


暫くの沈黙のあと、和也は小さく頷いた。


「智さんと…一緒にいたい…」


「和也‥」


「たった3日過ごしただけだけど…僕も貴方のこと…忘れられない…」


ぎゅっと自分の身体を抱いた。


「それどころか、会えない日々でもっともっと…貴方を愛してた…」


俺の顔を見上げて、まっすぐ見つめた。


「他の男に抱かれるのが…嫌でたまらなかった…」


「和也…」


「でも…僕の仕事だし…僕の身体は…」


悲しく微笑んだ。


その微笑みは、透明な石の玉…


「感じてしまう…」


ぽろりと涙がこぼれ落ちる。


「こんな僕でも…智さんは内地に連れて行ってくれますか…?」


俺はそっと和也の頬を手のひらで包んだ。


「言ったろ…?どんな和を見たって、俺の気持ちは変わらなかったんだよ…」


「智さん…」


「一緒に帰ろう…」


「はい…」


「ずっと、一緒にいよう…」


「はい…」



繋がれた手が、熱い。


その手の上に、和也のダイヤみたいな綺麗な涙が次々に落ちてくる。


静かにそれが止むのを待った。


止むと同時に、泣きつかれて和也は俺の腕で眠る。


安心しきった顔をして…






俺たちは…



出会ってしまったんだろう…



男と男。



生さぬ仲…



でも俺達の間には、確かに何かが生まれた。



生まれたそれを。



綺麗な綺麗なそれを…



この先ずっと守っていく。







和也の目の端に溜まった涙がこぼれ落ちた。








玲瓏な涙だった。













【終わり】
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