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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第23章 Sad Monster【ドリフターズ】


「もう良いんですよ、土方殿。
 先程泣いて仕舞ったのは、怯えた訳では無いのです。
 だからもう私を脅しても無駄ですから。」

「では何故ッ……
 何故、お前は泣いた?
 俺が恐ろしいのだろう?」

「いいえ。
 私が泣いたのは、悲しかったからです。」

「………悲しい?」

「はい。
 土方殿が私を御身から遠ざけようとなさるのが悲しくて。
 私は土方殿にとって必要な存在では無いのだと
 思い知らされた事が悲しかったのです。」

「何を………
 言っている?」


それじゃあ、まるで俺を『慕っている』と言わんばかりではないか?

この俺を『好いている』と言わんばかりではないか?

それじゃあ俺は……お前に縋って仕舞うではないか?


「土方殿……私は……」

労る様に俺の額を撫で続けるの手を弾き飛ばし、俺は上体を跳ね起こす。

「何度も言わせるなッ!
 俺は島津を恨んで憎んで、ここまで来た!
 その血筋を一滴残らず殲滅させて遣りたい程に!
 ドロドロと渦巻く憤怒と怨讐に突き動かされるだけの俺は
 悍ましい《化物》なのだッ!」

こうまで告げても、の表情は変わらない。

それ所か、更に俺を柔らかい視線で見つめて………

予想外の事を言い出した。



「では、私も土方殿と同じ……
 《化物》ですね。
 だって私も島津の血を恨んでいるのですから。」

「………は?」

そしては、滔々と語り出す。
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