第23章 Sad Monster【ドリフターズ】
どこをどう歩いて戻ったのか自分自身分からんが、気が付けば俺はと初めて出会った森の中に居た。
雨に濡れて冷えた身体を、いつもの草むらに横たえる。
どうせ独りであるなら、また違う世界へ飛ばされて仕舞えば良い……
何なら俺も、ジル・ドレの様に塩の塊にでも為って仕舞えば良い……
これ程の虚無感を抱えて、まだ生きろと言うのか?
目を瞑る。
このまま目覚めない事を願って………
「…………っ!」
身体に感じた僅かな刺激。
ああ……やはりこの世界のまま目覚めて仕舞ったか…とウンザリして視線を漂わせてみれば……
俺の傍らには昇り始めた朝日を背負って、きっちりと膝を正したが居た。
の小さく温かい手が、俺の額をそっと撫でている。
「ごめんなさい。
起こして仕舞いましたね。」
「お前……どうして……」
「どうしてって……。
何度もお伝えしたでしょう?
私は土方殿が居ればそれだけで良いって。
だから戻って参りました。」
清々しい笑みを湛えて俺を見下ろすの姿に胸が締め付けられる。
………駄目だ。
このまま流される訳にはいかぬ。
「俺も言った筈だ。
俺はお前を犯す…と。
只、穢されるだけで済むと思うな。
俺は《化物》だ。
《化物》が遣らかす行為は、
お前自身が想定する最悪を遥かに超えるぞ。」
卑屈に口角を上げ態とらしく脅し付けても、の浮かべた笑みは消える事無く……
只僅かに切なさを滲ませた目を細めた。