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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第23章 Sad Monster【ドリフターズ】


「………巫山戯るなよ、島津。
 敵では無いとはどういうつもりだ!
 俺はいつだって戦える。
 今直ぐにでも貴様を縊り殺してやる!!」

増幅し続ける憤怒を発散させて俺がそう叫んでも、島津は冷ややかな視線を向けるだけだ。


何故だ?

以前刀を交えた時はあれ程に嬉々として戦った癖に。

何故今は、刀を抜こうとすらしない?


ギリギリと歯を食い縛る俺とは裏腹に、島津は野良犬を窘める様な声色で語り出す。

「そん目をしたお前(まあ)とは戦えん。
 そん崩れ落ちそうな面構えで
 俺(おい)と斬り合おうなんぞ図々しいわ。
 今のお前(まあ)に殺られる気なんぞビタイチ無か。
 ならば薩摩兵子は、無意味な斬り合いはせん。」

「五月蝿えッッ!
 黙れッッ!!」


何だ、その何もかも見透かした様な言い種は?

何だ、その俺を労わる様な眼差しは?

本当に本当に………

俺は、そんなお前が大嫌いだ。


図星を衝かれた動揺を振り切り、己を鼓舞する如く勢い良く抜刀した俺を第六天魔王までが小馬鹿にしやがった。

「あーーー…
 止めておけ、止めておけ。
 お豊(トヨ)の言う通りよ。
 今の貴様相手に、我が総大将を出すなぞ勿体無いわにゃあ。」


抜刀したまま動けない。

抜き身の兼定までもが行き場を失くして小刻みに震える中、第六天魔王は嘲笑を浮かべて踵を返す。
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