第20章 グレイ scene2
翔くんが俺の手を掴んだ。
「どっちの手だ」
「え…?右手…」
右手を掴んで水道の下に差し出した。
水栓を上げて、勢い良く水を出した。
「わっ…つ、冷たいっ…」
翔くんは無言で俺の手を洗剤でゴシゴシ洗い始めた。
「しょ、翔くん痛い…」
ひりひりする程擦られて、やっと洗剤を洗い流してくれた。
手を見たら、真っ赤になっていた。
突然タオルを手に被せられて、優しく上から押さえられた。
「潤…これで綺麗になったからね?」
声は穏やかなんだけど、嫉妬に狂ったような顔…
翔くんがこんなに感情を露わにすることがないから、驚いた。
「翔くん…大丈夫…?」
思わず聞いてしまった。
「え?」
「あ、ごめん…ヘンなこと聞いた…」
「俺よりも…お前が大丈夫なのかよ…」
俺の手を掴んだまま、翔くんは俯いた。
「うん…大丈夫だよ…だって、翔くんが助けてくれたから…」
翔くんは驚いた顔を上げた。
「翔くんが守ってくれたから、俺、平気だよ…」
そう言って翔くんに抱きついた。
ぎゅうううっと力を入れて抱きついたら、翔くんもおもいっきりぎゅううううっと抱き寄せてくれた。
ああ…翔くんで良かった…
今こうして、俺を抱きしめてくれるのが翔くんで良かった…