第20章 グレイ scene2
「潤…かわいいよ…その怯えた目…最高だよ…」
口の端からよだれを流しながら、ADは俺に顔を近づけてきた。
「ヤメろっ…この変態っ…」
全力で振り払ったはずなのに、目の前がブレたと思った瞬間、俺は床に叩きつけられていた。
「うっ…ああ…」
息ができないくらいの衝撃。
「潤っ…かわいいよ…それでこそ潤だよ…っ」
ADは息を荒くして俺にのしかかって来た。
声が出せない。
嫌だ…!やめろよ!
助けて…
助けてよっ…!
「テメエ!なにやってんだ!」
叫び声が聞こえたと思ったら、ADの身体が急に消えた。
ADの叫ぶ声と、怒号が辺りに響いた。
俺は力が抜けて、そのまま起き上がることができない。
「潤っ…潤っ…」
その声は、俺の愛おしい人の声で。
「しっかりしろっ…潤っ…」
今まで聞いたこともない、切羽詰まった声を出していて。
「目を…開けろよぉ…」
泣きそうな声をだしていた。
「翔…くん…?」
目を開けると、涙まみれの愛おしい人がそこに居た。
「潤っ…」
そっと身体を引き寄せて、その広い胸に抱きしめられた。
「痛い…ところはない…?」
その一言に、俺を想う全てが詰まっていて…
目の前がぼやけていった。