第20章 グレイ scene2
「ちょっ…何ですか?」
今日はレギュラーの収録でテレビ局に来ている。
来て早々、プロデューサーに呼ばれたので一人でスタジオに向かって歩いていたら、スタジオ脇にある倉庫に引っ張りこまれた。
驚いて見上げた顔は、最近入ってきたADだった。
さっき楽屋に俺を呼びに来たのも、こいつだった。
「何ですか…?プロデューサーが呼んでるんですよね?」
「松本さん…僕、あなたのファンなんですよ…」
ぼさぼさの髪に、黒縁のメガネ。
ネルシャツにGパンという格好で、じりじりと俺に迫ってくる。
言ってることは普通なんだけど、異様な雰囲気で…
目が、怖い…
「ありがとうございます…うち、サインとかだめなんで、握手でいいですか…?」
丁寧に問うて、手を差し出した。
そのADはじっと俺の手を見つめた。
べろっと舌を出して唇を湿らせたかと思うと、俺の手を掴んで甲にキスをした。
「ちょっ…何するんですか!?やめてくださいっ…」
でもADは手を離してくれない。
「松本さん…僕…あなたを思って、毎日シコってるんです。お願いです。僕のをシコってください!」
「正気かよ!アンタ!」
俺は手を振りほどこうとしたけど、がっつりと腕を手繰りこまれた。
「何年待ったと思うんだ…何年アンタに近づくために屈辱に耐えてきたと思うんだ…全部アンタのためなんだぞ…」
イった目で、ブツブツつぶやいてる姿は、狂人にしか見えなかった。