第20章 グレイ scene2
タレントクロークでお姉さんに電話してもらって、収録スタジオが開いているか確認してもらった。
ちょうど今セットの直しが終わったところで、開いているからどうぞと言われた。
二人でてくてくスタジオまでの長い廊下を歩く。
「ごめんね、智くん。この後どっか飯でも行こうか?」
「えっ…だって、俺が勝手についてきたんだし、イイよ別に…」
素直じゃないな…俺…
「まあまあ、そんなこと言わず…」
そんなこと言ってたら、スタジオについた。
スタジオは薄暗かった。
もう照明は全て落ちきっていて、蛍光灯の小さな灯りしか点いていなかった。
今日はこのスタジオで最後に取ったのはクリフクライムだった。
「え?こっちのスタジオに忘れたの?」
「うん…たぶんね…」
そう言って薄暗い中、スマホを探し始めた。
俺達の席。今日翔ちゃんが座っていたところを見たら、隅の方に白いスマホがあった。
「翔ちゃん、これ?」
「あ、やっぱりあった?」
そう言って受け取って、中身を確認して頷いた。
「良かったね…」
そう言ってスタジオを出ようとしたら、翔ちゃんに袖を引っ張られた。
「ねえ、智くん。今誰も居ないから、あれやってよ」
「えっ…」
「お願い!」
手を合わせて拝まれたから、仕方なく、セットに寄っていった。