第20章 グレイ scene2
「あ、俺スタジオに忘れ物したかも」
帰りの車の中で、翔くんが呟いた。
今日は俺と翔ちゃんが一緒にマネに送ってもらってる。
「え?どうする?取りに戻る?」
「うん。スマホ忘れちゃった…」
「マジか…それはないとまずいね」
マネージャーに言って、車をお台場に戻してもらった。
「あ…櫻井さん、大野さんすいません…実はこの後事務所で会議があって…」
「あ、じゃあタクシーで帰るからいいよ。ごめんね無理言って…」
翔ちゃんが答えて、俺も頷いておいた。
「あ、でも智くんだけでも送ってもらったら?」
「いいよ。どうせ暇だし付き合うよ」
「え、でも悪いよ…」
「いいって…別に…」
遠慮する翔ちゃんを無理やり押し切って、俺はお台場まで一緒に行った。
だって…ちょっとでも一緒にいたいだもん。
翔ちゃんには、俺がこんな気持ち抱いていることはナイショ。
だって気持ち悪いでしょ?
男が男を好きだって…
局についたら、マネージャーが警備と交渉して忘れ物を取りに入るパスを貰った。
「じゃあお疲れー」
去っていく背中を見送って、二人でテレビ局に入った。
もうだいぶ遅い時間だったから、そんなに人は居ない。
でも人影は絶える事なくどこそこで揺らめいている。
「あ、スタジオ開いてるかな…」
翔ちゃんと一緒にクロークに確認しにいった。