第16章 グレイ scene1
「じゃあ俺はこれあげるよ」
大野さんがカバンから小さなノートを取り出した。
「え?なにこれ」
「見てみて」
翔くんがノートを開くと、笑顔が咲いた。
「智くんっ…これ…!」
「うん…前から頼まれてたの…やっと書き上がったから…」
立ちあがってノートを覗きに行くと、そこには嵐のメンバー全員の似顔絵があった。
もちろん俺の絵も。
「こんなのいつの間に…」
「仕事の合間にね、ちょこちょこ描いたの。半年かかったよ…」
「ほんと!?智くん…」
「ごめんね。時間掛かって…」
「こんなの…初めてだよ…嬉しい…」
翔くんはちょっと涙ぐんだ。
「俺、智くんになにもお返しできない…どうしよう…」
「いいってそんなの…」
「でも…潤にも俺、なんにもお返しできないな…」
そういうと真剣に戸惑った顔をした。
「なにか、二人とも俺にしてほしいことない?」
「「えっ!?」」
あからさまに大野さんと俺の挙動はおかしくなった。
「な、なんでもいいの…?」
「え?俺にできることなら…」
そう言って頬を赤らめた。
なっ…なんだその乙女みたいな反応っ!!