第16章 グレイ scene1
【小悪魔男子】
「ねえ、潤。だめ?」
上目遣いで翔くんが俺を見上げる。
「え…だめじゃないけど…」
「ほんと!?嬉しいっ」
翔くんは飛び上がって俺に抱きついてきた。
「ちょっ…何すんの…」
「だって、潤の大事にしてるキーホルダーくれるんでしょ?ありがとう!」
「い、いや別にそんなのいいよ…」
翔くんは俺のキーホルダーを手のひらで玩んで眺めてる。
「ほんと…綺麗…」
そんな嬉しそうな横顔を眺めてるだけで、嬉しくなってくる。
「喜んでくれて嬉しいよ…」
「ほんと?」
「うん…」
あんまり照れくさくなって、楽屋のソファに深く凭れた。
ガチャっと扉が開いて、大野さんが入ってきた。
「おはよー…」
相変わらずたるそうなオーラを出しながら、イスに座った。
「あっ!智くん、見てみて!これ潤に貰ったの!」
翔くんが智くんに駆け寄って、キーホルダーを見せた。
「あれ…これ潤が大事にしてたやつじゃね?」
「うん!でも、俺にくれたの!」
「ふうん…」
なんだか大野さんの視線が痛い。
「翔ちゃんはおねだり上手だなあ…」
そう言って大野さんは微笑んだ。