第16章 グレイ scene1
「じゃあ、目瞑って…?」
大野さんがぽつりと呟いた。
「え?こう?」
翔くんが素直に目を閉じた。
「そのままでいてね…」
そう言うと、大野さんはごく自然に…
自然に翔くんにキスをした。
「えええええ!?」
「でかい声だすなよ…潤…」
チッて顔して、大野さんが翔くんから離れた。
「いいよ。目を開けて」
そう大野さんが言っても、翔くんは目を開けようとしない。
「どうしたの?翔ちゃん…」
大野さんが翔くんの前髪をさらさらと撫でると、翔くんの顔は真っ赤になった。
「いやっ…恥ずかしいっ…」
「なんで…翔ちゃんがいけないんだよ?かわいいんだから…」
大野さんが堪らないって顔して、翔くんを抱き寄せた。
「あ…恥ずかしいよ…智くん…」
「可愛いよ…翔ちゃん…」
また唇を寄せていくから…
「だあああああ!」
俺は大野さんの腕から翔くんを奪い取った。
「え…潤?」
翔くんがびっくりして俺を見上げてる。
その瞳は涙で潤んでた。
思わず俺は、翔くんの唇にかぶりついた。
「んっ…」
小さく翔くんが呻いたけど、もう知らない。
そのぽってりした唇を、存分に味わった。