第14章 檸檬
突然、内藤が声を上げて泣きだした。
獣が吠えるみたいな泣き声だった。
「ごめん…伯父さん、ごめんなさいっ…カズヤぁ…」
あんまり酷く泣くから、ママさんが背中をさすってやるほどだった。
暫くすると、泣き声が小さくなって。
また内藤は俯いたまま、動かなくなった。
「近藤先生、後はお任せしても?」
翔さんがソファに腰掛けた。
お茶を啜ると、近藤先生の顔を見た。
「はい…もうそちらにご迷惑はかけませんから…」
「では、よろしくお願い致します」
内藤を残して四人で事務所を出た。
「翔さん…」
「まあ、後でな…」
車に乗り込むと、ママさんが乗ってないことに気づいた。
「ママさん?」
窓を開けると、ママさんは微笑んだ。
「私はここで…」
ママさんは踵を返した。
「あのっ…ありがとうございました!」
振り返ると、ママさんは微笑んだ。
「カズヤに頑張れよって伝えてください」
「はい…必ず」
そのままママは路地裏に消えていった。
もう…カズヤには会わないつもりなのかな…
翔さんが車を走らせると、少しだけ風が目に染みた。