第14章 檸檬
「なんだよ…急に呼びだされてたから、急いで来たのに…」
なんかぶつぶつ言ってるから、必死で手の甲をつねって耐えた。
「雅紀、この人が内藤だよ。隣はカズヤのママさん」
「えっ…」
相葉さんの表情が、固まった。
「近藤先生…この前お聞きした話、話してもよろしいでしょうか?」
「ええ。構いません」
先生は温和な表情のまま頷いた。
翔さんはお茶をまた、一口啜ると語り始めた。
「雅紀も揃ったから…話すね。実は、俺の親父と近藤先生は旧知だったんだ。だから、調査報告に先生の名前があって…俺、連絡取ったんだ…」
近藤先生と内藤は、伯父甥の関係で。
近藤先生の年の離れた妹の子だった。
その内藤の母親は…
内藤を愛していなかった。
多分、小さい頃から性癖に問題があるのがわかっていたのだろう。
年が離れているから、あまり交流もなかったのだが、久しぶりに甥に会ってみると、変わり果てていて呆然としたそうだ。
母親に愛されていないが故の、すさまじい荒れようで。
当時中学生だった内藤を、近藤先生は引き取った。
近藤先生には子供がなかった。
だから奥様と二人で、内藤を実の子供のように育てたそうだ。
最初は反抗していた内藤も、次第に落ち着きを取り戻した。
無事に高校に進学すると、本来の頭の良さを発揮して、有名大学に入ることになった。
その時、内藤の母親は連絡をしてきたそうだ。
『さすが私の息子だわ』