第14章 檸檬
「え…?お知り合い?」
ママさんがきょとんとした顔をした。
「私の甥です…」
微笑むと、おじいちゃんはソファを指差した。
「座りなさい、和幸」
内藤は素直にソファに腰掛けた。
俺とママさんは顔を見合わせた。
内藤は借りてきた猫みたいになってる。
「翔さん…ここ…」
「近藤弁護士事務所。内藤の伯父さんの事務所だよ」
「ええっ…」
近藤先生は、日本茶を柄がばらばらの湯のみにいれて持ってきてくれた。
「事務の子が居ないから、食器がどこにあるかわからなくてねえ…」
「恐れいります」
翔さんが湯のみを受け取って、早速喉を潤す。
俺もママさんも湯のみを手に持って呆然としている。
内藤は俯いたまま顔を上げない。
「櫻井さん、ありがとうございました…」
少ししゃがれた声でいうと、頭を下げた。
「先生、そんなことなさらないでください…」
翔さんが慌てて立上がる。
「和幸…なんで来てくれなかったんだ…」
内藤は俯いたまま答えない。
「あんなことになる前に、なんで頼ってくれなかったんだ…」
近藤先生は、慈愛あふれる目で内藤を見つめた。