第14章 檸檬
翔さんは俺に駆け寄ると、腕を取って引き起こしてくれた。
「お前まさか…おとり捜査みたいなことしたの!?」
ひっと肩を竦めた。
絶対に怒られるっ…
「櫻井さん…」
ママさんが男らしい声を出した。
「って、うおっ…誰?」
「アタシです…二丁目の…」
「あっ…えっ…ママさん!?」
「私達組んで張ってたんです。だから、ニノをあんまり怒らないでください…」
内藤はもがいているけど、ママさんはぴくりとも動かなかった。
…昨日聞いた…
ママさん、柔道の有段者なんだって…
「ま、まあ…そういうことなら…」
翔さんは怒りをどこに持ってっていいかわからないって顔になった。
「ごめん…なんにも言わなくて…」
「ああ…まあ、そりゃお互い様だしな…」
翔さんは鼻の頭を掻くと、内藤を睨みつけた。
「オタク…うちのカズヤにえげつない真似してくれたんだってな」
吐き捨てるように言うと、胸ぐらを掴んだ。
「ゆっくり話せるとこいこーや」
瞬間湯沸器が帰ってきた…
内藤も、迫力に飲まれたのか動かなくなった。
「ママさん、まだ付き合ってもらえます?」
「ええ。時間はたっぷりあるから」
「じゃあ、俺の車行きましょう」