第14章 檸檬
駅までの道をゆっくりと歩く。
あんまり普段、歩かないから結構いろんな店あるのも知らなかった。
まだ開いてない店の看板とか眺めながらゆっくり歩く。
もうすぐ駅ってところで、諦めの雰囲気になってきた。
今日はだめかな…
それでも大学までアイツは追っかけて来たんだから、大学までは行ってみよう。
本郷キャンパスまで行ってみることにした。
この日の為にSuicaってやつも買ってみた。
便利な世の中だねえ…
駅の階段を降りようとしたその時、腕を掴まれた。
「カズヤ」
その男の声に、聞き覚えはなかった。
振り向くと、小汚い格好をした男が立っていた。
「来い」
ぐいっと腕を引っ張られた。
「ちょっと…」
俺と同じ年くらいだろうか。
引き締まった身体をしてるけど、顔色は最悪に悪い。
きっとコイツが内藤ってやつだ。
「あ…もしかして…近藤さん…?」
やつの二丁目の偽名を言ってみた。
「え?」
振り向いた顔は、やっと俺の顔をみた。
「お前…誰だ」
「いや…誰って…」
「なんで俺の名前知ってる」
「なんでだろうね」