第14章 檸檬
「いってきまーす!」
翔さんは朝早くに出かけていった。
相葉さんとカズヤは、いつもの時間に玄関に立つ。
「いってらっしゃい。気をつけてね」
「はーい」
カズヤはあれから元気を取り戻した。
俺達に一切を委ねてるように見える。
不安だろうけど、それは表にだしていない。
俺達も無理に不安を吐き出させるようなことはしなかった。
カズヤの方から頼ってくるなら、話は別だけど。
今は、あいつのことをただ見守ってる。
「さて、じゃあ私も準備しますかね…」
カズヤの部屋に行って、クローゼットを漁る。
あの日着ていた服を取り出した。
自分の部屋に戻って、着替えてみた。
「わお…そっくりじゃん」
そのまま玄関へ行って、皮のブーツを履いた。
「ますますそっくり…」
玄関の鏡に映る姿は、カズヤだった。
ニット帽を被って、鍵を持った。
こんなんで本当に会えるかわからなかった。
けど、何もやらないよりはいいかと思った。
あの二人に黙ってやるのは、心苦しかったけど。
でも言ったら絶対に止められると思った。
だから…
玄関を開けると、鍵を締める。
門まで歩いて行くと、回りに目を配った。