第14章 檸檬
内藤がカズヤを家に住まわせるようになるまで、そう時間は掛からなかった。
そのうちカズヤは店にくることも少なくなり、ママはやっとカズヤが落ち着くとほっとしたということだった。
ただひとつ、気になることは…
内藤は無類のブランド好きだった。
カズヤにブランド服を着せて、喜んでいるようなところがあった。
当の本人は、そんなこと気にしていなかったようだけど。
「あの子…最後にここに来た時、自分は内藤さんのアクセサリーだったって言いました」
つまり、それくらいしか愛されていなかったっていうことだ。
その時のカズヤの顔が浮かぶようだった。
「…内藤さんは、その当時は新宿に住んでいました。確かご実家も新宿だったと言っていたと思います」
「そうですか…じゃあ今でも新宿にいる可能性は高いですよね…」
「あ…ちょっと待ってて…」
ママさんは出て行くと、すぐに戻ってきた。
「これ…昔の名刺だけど…」
二枚あった。
会社のものと、個人用と思われるもの。
「会社はとっくに解雇になっています。でも参考までにお渡ししておきますね」
「ありがとう」
「あと…これは、二丁目用の名刺だから…偽名なの」