第14章 檸檬
夕方、二人が同時に帰ってきた。
カズヤはまだ眠ったままだったから、リビングで俺たちは話をした。
「アイツか…」
翔さんがまた、爪を噛んだ。
相葉さんは、真っ青になって動かない。
「俺達のことネタに、カズヤを好きにしたってことだよな?」
「まあ…そういうことだね…」
「やっぱりアイツ…カズヤのこと、モノみたいに…」
相葉さんが呻くように言った。
「相葉さん…」
翔さんが相葉さんの肩を抱いた。
「泣くな…雅紀…」
相葉さんは顔を片手で覆って泣きだした。
「カズヤが…可哀想だ…」
「雅紀…」
「…しっかりしてよ…泣くのは、俺らの前だけにしてよ…」
「ごめん…」
「…俺らの前だったら、いくらでも泣いていいから…」
「和…」
ぐしゃっと前髪をかきあげると、立ちあがった。
「ありがと…カズヤんとこ行ってくる」
「顔、洗いなよ…」
「わかってる」
手を振りながら、相葉さんはリビングを出て行った。
背中を見送りながら、こみ上げてくるものがあった。
相葉さんの胸中を思うと、切なかった。
一番恐れていたことが起こったんだ。
相葉さんの心の中には、嵐が吹き荒れているに違いない。