第14章 檸檬
東大の赤門が見えるところまで来てしまった。
狭い通りに入ると、車を停めた。
スマホを取り出して、翔さんと相葉さんに連絡を入れる。
カズヤから何か聞いていないかと思ったが、二人からの返事はなにも聞いていないというものだった。
ハンドルを殴ると、また車を走らせた。
今度はゆっくりと家まで向かう。
駐車場に車を入れると、家の中に入る。
玄関にはマーチンが転がっていた。
洗面所に灯りがついてるのが見えて、急いで駆け込む。
「カズヤっ…!」
風呂場に灯りがついていた。
扉を開けると、浴槽にカズヤが座り込んでいた。
身体を無数の引っかき傷が覆っていた。
「カズヤ…どうしたんだ!」
靴下が濡れるのも構わず、風呂場に踏み込んだ。
「にーの…」
見上げたカズヤの顔には、大きな痣がついていた。
絶句している俺に、カズヤは微笑みかけてきた。
「やっぱり俺…しあわせになっちゃいけないんだね…」
そういうと、気を失った。
「カズヤっ…」
浴槽からカズヤを抱き上げると、そのままバスローブを被せて一階の寝室に寝かせた。
ぎりっと歯噛みする。
誰だよ…カズヤにこんなことしたの…